• HOME
  • 「明日への提言」

「明日への提言」  バックナンバー: 2025年

自然との共生を考える

草光俊雄(東京大学名誉教授)

 今年2024年は異常に暑い夏が続き、11月になっても夏日が観測され、富士山の初冠雪も例年に比べて遅かった。暑さだけではなく、台風や豪雨の被害も多く、心を痛めたのは元旦に大きな地震に見舞われた能登地方が、9月に大雨による水害や土砂崩れなどに襲われたことであった。また世界に目を向けると、この秋にスペインのバレンシアとアンダルシアで起きた大洪水は何百という犠牲者を出しているし、アジアの国々でも目を覆いたくなるような悲惨な豪雨の被害がひっきりなしに報道されている。これらは確かに天災である。しかしその元凶となっているとみられる地球の温暖化は、明らかに産業革命以降の人間の活動によるものであり、物欲を限りなく追求し、自然を破壊してきたのはこの地上で人間だけであり、自分たちの生活が脅かされてきているだけではなく、大量の動植物が絶滅したり、減少したりしてきていることは、多くの科学者たちが指摘していることである。

続きを読む


ページTOPへ

COPYRIGHT © Chuo Academic Research Institute ALL RIGHTS RESERVED.