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「明日への提言」  バックナンバー: 2025年

音楽の神秘について

荒牧小百合(洗足学園音楽大学/聖徳大学講師)

はじめに

 音楽には不思議な力があります。
 戦争や事故などで心の傷を負った人々の、カウンセラーの言葉でも癒えない傷でさえ、音楽を聴くと慰められたり癒されたり元気づけられたりすることがあります。また、音楽療法がガンなどの治療に直接使われるわけではありませんが、精神的な、傷以外の身体的な治癒力を高めたりすることが分かっています。
 音楽療法は、古い時代から似たようなことが行われていましたが、第二次世界大戦後、アメリカの退役軍人の心のケアにおいて改めて音楽の癒しの力が注目されて発展していったようです。まだ比較的新しいこの分野は、これからも研究が進んでいくため、その効果は未知数ともいえるでしょう。

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自然との共生を考える

草光俊雄(東京大学名誉教授)

 今年2024年は異常に暑い夏が続き、11月になっても夏日が観測され、富士山の初冠雪も例年に比べて遅かった。暑さだけではなく、台風や豪雨の被害も多く、心を痛めたのは元旦に大きな地震に見舞われた能登地方が、9月に大雨による水害や土砂崩れなどに襲われたことであった。また世界に目を向けると、この秋にスペインのバレンシアとアンダルシアで起きた大洪水は何百という犠牲者を出しているし、アジアの国々でも目を覆いたくなるような悲惨な豪雨の被害がひっきりなしに報道されている。これらは確かに天災である。しかしその元凶となっているとみられる地球の温暖化は、明らかに産業革命以降の人間の活動によるものであり、物欲を限りなく追求し、自然を破壊してきたのはこの地上で人間だけであり、自分たちの生活が脅かされてきているだけではなく、大量の動植物が絶滅したり、減少したりしてきていることは、多くの科学者たちが指摘していることである。

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